
メキシコ「死者の日」の砂糖菓子*その2*アルフェニケの羊
メキシコのカトリックの行事「死者の日」Dia de los Muerutos は、11月1・2日。
ヨーロッパ南部では、11月1日を「万聖節」Todos los Santos(諸聖人の日)として祝います。
祭壇のお供物には果物や、「死者のパン」Pan de Muerto や砂糖の骸骨の他、菓子やチョコレート、
さらに故人の好きだった食べ物なども供え、祭壇やお墓を、各家族で工夫をこらし、飾るようです。
そういった祭壇のコンテストや、砂糖菓子のコンテストなどを行う町もあり、お供物のための市も立ち、
本当に大きな祭礼です。夜はにぎにぎしく飾られたお墓へ出かけ、そこで飲食もして過ごすので、
日本では「メキシコのお盆行事」というとらえ方をされるようです。
さて、ここでもやはり、砂糖菓子に注目です。
写真の子羊(イエスを象徴)は、シュガーペーストといっもよさそうな生地でつくられています。
この砂糖生地はAlfenique(アルフェニケ nの上に〜がつきます)と呼ばれています。
私は、この「アルフェニケ」という名称にとても興味を持っていましたので、
「百聞は一見にしかず」だと思い、砂糖の骸骨と一緒にmexicansugarskull.comより送ってもらうことにしました。
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有平糖の語源といわれるポルトガル語の「アルフェニン」「アルフェロワ」。
現在もテルセイラ島にはアルフェニンは残っているのでしょうか?
「南蛮料理のふしぎ探検」の著者、荒尾さんによれば、「アルフェロワ」はすでに姿を消しているとのこと。
また、スペインには、「アルファフォール」があり、辞書にはアンダルシア地方のクリスマスの菓子だとありましたが、
カタルーニャでは見たことがなかったので、
友人よりのお土産のお菓子に、Alfajorアルファフォールと書かれていて、とても興味深く味わったことがありました。

Alfajor de Almendra とあり、アーモンドや砂糖などを合わせてあるようでしたが、
アーモンドと砂糖だけのトゥロンよりずっと柔らかでハルヴァ(ヘルワ)に近い感じでした。
メキシコのココナツ入りアルファフォールには、驚くべくものがありますが、
同じ名称が、アルゼンチンでは、日本の「エンゼルパイ」と似たお菓子をさすようです。
なぜ、これらのお菓子にこだわるかというと、これらの言葉に共通の「ある・アル・al」という発音です。
al はアラビア語の定冠詞です。身近なところでいえば、あの中東のTV局「アル・ジャジーラ」がそうです。
すでに日本語となっているアルコール、アルカリなどと同じく、「アルヘイトウ」もアラブ起源の言葉ということです。
こんな小さな菓子の名が、その遠い出自を、いまだに頭につけているその冠で主張しているのですから、すごいことです。
砂糖を早くから精製し、金花糖のような高度な技術も11世紀には存在したらしいアラビアの製糖、加工技術は
まず侵略先のイベリア半島に根付いたようです。
その後レコンキスタを経て、カトリックの国として大航海時代を向かえたスペインとスペインから独立したポルトガルによって
これらの製糖、製菓技術が各国に伝わったと思われます。
たとえば、カステラのルーツビスコチョでさえ、砂糖を多用することもあり、
スペインでは、やはりアラブ経由なのではと考える方もいらっしゃるようです。
クリスマスにはなくてはならないトゥロンこそ、間違いなくアラビアからのお菓子だと思います。
確かにスペインにいると、カタルーニャでさえ、アラビア文化を感じますから、
首都が置かれたコルドバのあるアンダルシア地方は、アラビアとヨーロッパの混合文化であろうと想像できます。
ナポレオンが「ピレネーの向こうはアフリカ」と言ったというのも、ちょっとうなずけます。
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そんなわけで、「アルフェニケの羊」と「有平糖のれんげ」を一緒に写真におさめたかったのです。
京都の亀廣保さんの有平のれんげは、ものすごくお気に入りなので、多めに買っていくつかとっておいたものです。
透明感がなくなってしまってたものを、写真に撮ってしまいまい、申し訳ありません。
いろいろ楽しみながら食べた時の有平糖(特に写真左)は透明感があり、やはりできたては違います。
お店に伺った時、奥から有平を鋏でパチパチと切る音が聞こえ、その手元の作業が目に浮かび、
見学させていただいたような、ワクワクした気分になりました。


手作り散華(中央のみ)にのせてみたり。ピクニックのおティータイムで、指を筆代わりに、お抹茶で地面を描いて遊んだり。
メキシコのテレビ放送の録画をYouTube画像で見つけました。アルフェニケをつくる女性が登場します。
母親からの技術伝承ですが、こうした立体造形の砂糖人形はチョコレートなどにおされ、消えゆく運命にあるとか。
もうひとつのメキシコの「死者の日」の砂糖菓子である、金花糖のガイコツもご覧いただけます。
また、各国の金花糖もどうぞ。
参考:『南蛮スペイン・ポルトガル料理のふしぎ探検』荒尾美代 1992 日本テレビ放送網株式会社
『砂糖のイスラーム生活史』佐藤次高 2008 岩波書店

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