
中之条町のボク市にて
お目当てはまゆだまの枝にさげる「花菓子」でした。
新潟に近い群馬県中之条町の初市は出店する軒数も少なくなったようで、2軒でした。
でもこの2軒は群馬の小正月のツクリモノを今もよく伝えていました。
木(ボク)が小正月行事の主役であることを端的に表すように、「ボク市」と呼ばれる初市でした。
このあたりでは、まゆだまを飾る木、ミズキを「ボクの木」とも呼ぶようです。
上の餅種の「花菓子」は渋川のお花屋さんが最中種屋さんに焼いてもらい
それをミズキや、しだれやなぎの枝につけて、売っていらっしゃいました。
群馬の餅種せんべいは色合いが柔らかく、独特の色でした。
鯛とかぶを除いて、恵比寿・大黒など立体の縁起物も、表裏を合わせず、片側だけで吊るすようです。
他の地域にはない飾りかたで、昔は合わせてさげたのかもしれません。
湿らせた餅種の表型と裏型を、吊るすための和紙の紐を挟みながら合わせていくわけですから、
手間のかかる作業には違いありません。
和紙の紐が少し縒ってあるのも珍しく感じました。
「ボク市」に出ていらっしゃる吉田有花園さんは翌日の渋川の初市にも出店されるとのことでした。
餅種の玉は、本来は米の粉でつくる団子の代用。今はどこの地域もこの現象。
でも、中之条のJAの売店では、糯米と粳米を半々に合わせた団子用の「米の粉」も、「ボクの木」もちゃんと売られていました。

他の地方にはないモチーフもあって、ユニーク。群馬県内ではもうなかなかみあたらない「花菓子」です。
この2年後に、また出かけて行き、下にご紹介の削りかけの製作者である河合さんに、
それまで何だかわからなかった四角いものについてお聞きすると、「(蚕の卵が並んだ)種紙だよ。」
「クワの葉もあるだろ?」と教えていただいたのです。
まさに、養蚕の盛んな群馬県のまゆだまにふさわしい「花菓子」なのです!
ボク市、そして小正月のツクリモノには欠かせない「削りかけ」。
群馬県は削りかけが豊富で、10年以上前に群馬県が調査収集した作品郡が博物館に収蔵されています。
10年前くらいまでは、まだ何人かいらしたという製作者の方々も、
今では、極寒の中のボク市に出ていらっしゃるのは河合洪太郎さん一人だけになってしまったようです。
まゆだまを追っていると、この削りかけや切り紙やらがいっしょに目に入ってきますが、
この群馬の削りかけを実際に見て、改めてその美しさや、白さから神のよりしろであることを実感。

美しいハナとノシ。いろいろな形とサイズがあり、名称も色々。「ケズリバナ」とも。
家の内外の神仏に供える。

チヂレをつくる刀は特注品。左の朱で塗られたハナは御幣の代わりとされる。
干支の酉も削りかけのバリエーションとして笹野彫りのようにつくられている。
他にも、カユカキ棒、ハラミバシ、ジュウロクバナなど小正月のツクリモノが勢揃いでした。

新治村の農家の屋根裏からみつかった「ハツガミ」を元に河合さんが木版を起こし、
刷るようになった復刻版の耕田郎(洪太郎の名より)版の「ハツガミ」。
なかでも蔵をバックに大黒様や金の反物を頭に載せた養蚕の守り神、衣笠大明神などおもしろい。
中之条周辺では1月14日には今はもう珍しくなった小正月行事「鳥追い」が行われるとのこと。
「ボク市」の11日には、あちこちの田んぼの真ん中に、どんど焼きの準備がされていて、高く組まれた骨組みのてっぺんに、
どれも必ずだるまがついているあたり、これも群馬県ならでは!?と思いました。
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