砂糖人形の土型

上の型は、新潟県燕市分水のお菓子屋さん所蔵(現在は使用せず)の金花糖の型で、
お店では、土型(どがた)と呼んでいます。

金花糖(砂糖人形)とは、煮詰めた砂糖液を撹拌(「摺る」「回す」)し、
その泡立つ糖液を、水に浸けておいた型(「水型」)に流し込む製法の砂糖菓子です。
この製法は、16世紀からの大航海時代に、地中海から北ヨーロッパ、新大陸やアジアへと伝わりました。
日本へも、南蛮文化とともに伝わったようです。

新潟県では、ここ燕市の分水・吉田地域に今も豊富に残っています。
昔は県内のあちこちでも金花糖をつくっていましたが、
今は天神菓子としてつくる地域と、お雛菓子としてつくる村上などに残る程度となりました。

金沢でも、今は主にお雛さまの時期につくられていますが、お正月の「福徳」に入っている金花糖は、
分水で天神菓子としてつくられている小物の金花糖(下の写真・小松屋製)と似ています。
加賀藩の武家や旧家では、正月に天神を祀っていた名残でしょうか?子ども達がこれでミニ天神堂遊びでもしたのでしょうか?
または、天神さま飾りとは無縁だった庶民にとって、福徳種の天神さまは特別の「福徳」となったのではないでしょうか。




さて、一番上の写真に写る土型は、半世紀ほど蔵に眠っていたという型のうちのひとつです。
一方、下の写真の型は、毎年使われている土型です。
天神さまの日に合わせ、2月に入る頃から25日までの、3〜4週間ほど売られます。
天神信仰あってこその金花糖(砂糖人形)です。




左は兎を抱く男の子(下)と、本を読む女の子の土型(上)。
型は水に浸けて使うため濡れた状態。乾くと一番上の写真の子供を抱いた女性の土型のような白っぽい状態に。
右は天神さまの土型を合わせたところ。ここへ沸騰する砂糖液を流す。


下に見える菓子屋が使う浅い箱(古くは木製)を「バンジュウ」と呼ぶが、スペイン語で bandeja なのも気になる。



「春を呼ぶ天神さま」と言われ、旧暦1月25日は、今の暦でいえば、2月末から3月中旬。
春分にも近く、雪国にとっては、大きな節目にあたりました。
これらの砂糖人形は、土人形にまじり、またはその代わりをつとめ、
天神さまやお雛さまの日に飾られ、子供たちを喜ばせたであったのでは?と思うのです。


兎を抱く男の子と本を読む女の子。中が空洞なので、光があたるときれいです。右は、立てたそろばんに寄りかかる大黒さま。

天神菓子については、ランダムですが「越後*菓子*民俗」で。
蔵にあった土型まで見せてくださった、燕市の横田屋さんに感謝いたします。

『分水町史』の記述もご覧ください。

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20012.3