縁起菓子

「ふ」の字尽くしの菓子型

鶴岡の梅津菓子店の店のすみっこに、この木型が置かれていました。
お盆菓子の「さげもの」を買いに行った時のことで、売るほうも買う方も汗を拭きながらの暑い日でした。
可愛らしい木型だったので、写真を撮らせていただいたのですが、帰ってきて落ち着いて見ると
それが「ふの字尽し」であることに気がつきました。

陰陽道では人間は五行のいずれかに属し、それぞれ幸運期、凶運期の年まわりが決まっていることから
5年間の凶運期「無卦」の後にやってくる、7年間続く幸運期「有卦」に入るときに、
「有卦祝い」として宴を催したり、贈りものなどしていました。
有卦に入る人の年齢が列記された「有卦絵」もたくさん刷られたようで、
「○月○日 土性の人有卦に入(い)る」などと記されています。
「火性」の「火」のところが、「水」「木」「金」「土」に変わるわけです。

有卦祝いには、頭に「ふ」のつくものを7つ揃える「ふの字尽し」の贈り物がかなり流行し、
お菓子で揃える「ふの字尽し」も人気がったようで、いろいろに工夫をこらされたようです。

その後、梅津菓子店さんに伺ったところによると、この型はもう7、80年はつくられてないとのこと。
ご主人も打ったものを見たこともないそうで、打つには薄すぎて難しいとのことでした。
1枚ものの型のようですし、昔はどうしていたのでしょうか?
米の粉は貴重で、薄くつくっていたのでしょうか?古い木型には薄いものが多いですし。
または雲平種(キザト)で抜いたのでしょうか?
そして、どんな風に贈っていたのか知りたいところです。



こちらは、すでに廃絶した大阪の住吉土人形です。
「有卦人形」ともいわれ、「ふ」の字のつくものを7つ集めた、
有卦祝いに贈られたと思われる土人形「ふの字尽し」です。

左は富士山、筆、文箱、分銅、裏側に笛、袋の6つの「ふ」が7つ目の「ふ」、船に載せられています。
この「ふの字尽し」を特に「有卦船」と呼びました。
「有卦船」をすべてお菓子でつくったり、船以外をすべてお菓子でつくったという記録が残るそうです。
右は富士山、分銅、福助、文箱、船、筆、袋の7つ。
同じようなものが伏見人形にもあり、「かわら版」のほうでご覧いただけます。



左は上の「有卦船」の裏側、右は上の「ふの字尽し」の福助が笛に。2点ともフラッシュ撮影で不自然ですが。
土人形は柏崎「痴娯の家」所蔵。特別に許可をいただいて撮影させていただきました。

有卦祝いの菓子についてはかわら版「フェリーチェの甘い生活」vol.6 虎屋文庫「占い・厄除け・開運菓子」展もご覧ください。


また、ご自分の有卦入りを知りたい場合は、生まれ年の十干十二支をもとに、下記の早見表で何性かを見てください。
土性と水性の人は、午年(午の月、午の日、午の刻)に有卦に入り、木性の人は酉年、火性の人は子年、金性の人は卯年に、となります。



  「いとおかし」目次へ
  目次へ
「玩具菓子」目次へ
  「玩具菓子」へ
更新順で次のページへ
  次のページへ

2005.2