
ハルヴァ・ヘルワ・ヨ耳尾(ハルウェー)
和菓子の歴史について書かれた本で、中国元時代の『居家必用』の中に記録されているという、
回回(ウイウイ)食品の「ヨ耳尾(ハルウェー)」のことを読んだ時、すぐに「ハルヴァ」!と気づきました。
漢文の製法は「乾麺炒熟羅過再炒下蜜少加水攪成按片刀裁」です。(漢字は完全に再現できていません)
まちがいなく、ハルヴァ・ヘルワです。
この「ハルウェー」は後の明時代の「軟落甘」(現在、落雁のルーツの一つとされる)へとつながるようです。
和菓子は、日本国内で洗練され、完成された独自の菓子文化ではありますが、
そのルーツをさぐりはじめると、とたんに世界中とつながっていくのがおもしろい!
「軟落甘は中国から伝わった」と、とりあえずは大雑把に表現するわけですが、
中国の西域は回教徒の世界なのですから、今も現代版のヨ耳尾(ハルウェー)があることでしょう。
上の写真は、レバノン製とハンガリー製だったかなー?と、あまりにも世界中にあるので、
この菓子の話に国境など無意味ですね。左はゴマで、右がピーナッツ風味だったと思います。
こうした視点にたてば、落雁はアラビアを源とする、粉(穀物や胡麻・ナッツ類)と砂糖をあわせた菓子の日本版ということに。
土地によって、粉の主成分が代わるのも興味深く思います。
確かに、落雁にも麦や玄米、蕎麦、葛、栗、大豆を使ったものや、小豆の粉を使う「もろこし」などがあります。




上左から、マスティック風味のギリシャ土産、ロンドン土産の胡麻がベースのギリシャ産ハルヴァ、
下は、チュニジア産を東京で発見。品名には「胡麻ペースト」とあったけれど、ハルヴァ!とピンときて買ったもの。
そして、スペインのアルファフォール。ポルボロンも似てるけど、このアルファフォールのほうがよりハルヴァに近いです。

写真のpolvoronesポルボロネスも、アラブの影響が強いアンダルシア地方のクリスマスの菓子と言われており、
アルファフォールが甘味料として元は蜂蜜を使用していたらしいことに対して、砂糖を使う落雁タイプです。
どちらも大航海時代までにはすでに存在していたわけで、日本へ持ち込まれている可能性もあるかもしれません。
米原真里さんのよだれもののエッセイ「トルコ蜜飴の版図」に書かれた絶品ハルヴァの製法をみても、
気長な攪拌作業という原始的製法でありながら、高度で繊細な技術を要する菓子でもあり、
未熟な職人でも家庭の主婦でもつくることはできますが、作り手の能力と信仰と修行?によって、結果が違うというのが、
この菓子のすごいところです。ハルヴァの名手は神に祝福されている、ということでしょうか?
「ヘルワ」はアラビア語で「きれい」という意味があるとか。

「アッラーが真の修行者のために用意している」食べ物というイメージがあると、
トルコ大使館発行の「トルコ料理」という冊子に書かれていました。
その冊子に載せられたヘルワの写真といっしょに、ギリシャのハルヴァを写真におさめてみました。
できたてのヘルワを平たくのばして、フォークなどで、模様を描かれている様子が素敵です。

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