中国の竈の神様の紙衣

2年前の12月にマカオ、コロアン島の雑貨屋さんでみつけました。
ちょうど竈神を送る12月23日のひと月ほど前だったので、売り始める頃だったのでしょうか。
竈神「火土 君」(写真にあるように、「火」ヘンに「土」の文字です。)の祭礼セットです。
この竈神の日には飴などを供えるため、菓子やお供物の観点から興味を持っていました。

この竈の神さまが天にお帰りになる日は、12月23日とされ、
1年間、竈の神として台所にいらして、自分たちの家庭内のことをよく知っておられる
竈神が天帝の元へお帰りになり、一年の様子を報告するとされています。
その時に「いいことだけ、おっしゃってください。悪いことはおっしゃらないでください。」と
お願いして、送り出すのだそうです。

その時のお供物には、北京あたりでは「関東飴」(山海関より東、または東北地方産)と呼ばれる、
さらし飴のような軟らかい飴が欠かせないようです。
寒い季節でないと、すぐにぐにゃりとなるこの冬の飴が、この時期たくさん売り出され、それを供えます。
また、火で温めて軟らかくした飴を、一年間壁に貼ってあった絵の中の竈神の口に貼り付けるのです。

      

天への報告が甘くなるように!悪口をふさぐ、というようなおまじない、というわけです。
この飴の呼び名は他にも「竈飴」など、地方によって違いがあるようです。

さて、マカオで買った祭礼セットですが、本などでも、上の写真のような竈神の絵ばかりみかけていたので、、
なにげなく買ってきた袋の中にもそのような紙が入っているとばかり思っていました。



ところが開けてみると、切紙、紙銭、紙馬などと一緒にでてきたのが、上の紙衣です。
びっくりしました。ちょっとマガマガしい感じがしたのです。
帽子までついていて、この長いほうの直径で15cmほどです。
ほとんどの家では、祭壇を持たず、壁掛け式の祭礼棚か、竈神の絵を貼るようですから、
これを着せるような大きな神像を祭る家は、それほどたくさんはないように思います。
紙衣はどのように使うのでしょうか?ご存知の方はお聞かせいただけますでしょうか?

この「送竈神」の祭りが終わると、1週間ほど神さま不在で、見張られていない間はちょっとお気楽?
とはいえ、次の日から竈の掃除をしたり、お帰りになるまでの1週間の間に、
今度はお迎えのための準備をしなくてはなりません。ホッとしていられない・・・。

そして、きれいになった竈の上には新しい竈神の紙を貼り、ご馳走を用意して
家の中もすっかり春節の準備が整い、大晦日の深夜にお迎えの儀礼「接竃神」となります。
ということは、「送竃神」は新年を迎えるための準備を始める日でもあったようです。



このセットの中には、送り出す時に一緒に燃やすという紙銭も入いっていましたが、
竈神が乗っていかれるという「紙(または竹の場合も)でつくるという馬」はみあたりませんでした。
張子の馬(馬のための水やまぐさも)、道案内の張子の犬までも供えるところもあったようです。
そのあたりは時代、地域によって違うのでしょうが・・・。
大連出身の知人に聞いても、紙衣はわからないようですし、横浜の中華街では行事自体を知る人が少なく、
今はもう廃れつつある行事なのかもしれません。


これは個別に売られていた「紙馬」。「紙馬」は護符のようなものだと教わりました。


動画サイト You Tube にとても分かりやすいアニメーションがありました。
最初のゴキブリがバタバタするシーンは目をつぶりたくなりますが、おすすめです。



参考文献 : 川瀬偲郎著「満豪の風俗習慣」、内田道夫著「東洋文庫23 北京風俗図譜(1)」 雑誌「漢声」など

東京、品川の竈の神さま、千躰荒神さんの「釜おこし」についてもご覧いただけます。

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2008.12