吉備津神社のこまいぬ

いつ吉備津神社に行けるかなぁと思っていましたが、なかなか実現せず・・・
玩具を扱うお店で「こまいぬ」の実物を見ながらも、やはり神社で買いたいものだ、と我慢。
その形を見るにつけ、しんこ細工のようで、米の粉でつくってみたいと思うようないとおしさがありました。
そんな私に、吉備津神社へ行った友人がお土産として買ってきてくれました。

触ってみると胡粉が落ちてくる素朴さ、いくら眺めても飽きない手びねりの造形。
ますますこの「こまいぬ」に特別な感じを抱きました。

ほぼ同時期に、高橋狗佛という、特に犬の玩具を集めた人の文章に触れる機会があり、
その中の「こまいぬ」についての記述「昔は麦粉でつくり・・・」に眼が釘付けに。
吉備津神社の参道の茶屋で買い求め、虫除けのまじないとして食べられていたとか!

昔から米の粉の団子を食べたり、煎じたりすることでご利益をいただいたり、
願う時に土団子、叶った時に米の団子を供える、という信仰形態がよくありました。
そういうことに連なっているのではないかという感じがします。

現在、神奈川県にも土団子を供え、願が叶うと米の団子を供えるというお地蔵さんがありますし、
江戸の笹団子もそういった願いや、感謝の団子です。
錦絵にも多く描かれた美人「笠森お仙」のいた、谷中の笠森稲荷の茶屋の土と米の団子もそうでした。


とても小さい「こまいぬ」。飴の大きさと変わりません。


この「こまいぬ」を授与する吉備津神社はたくさんの不思議を持った神社で、あげればきりがありません。
まずは「桃太郎」の元となったとされている吉備津彦命と温羅(ウラ)の話。
「鳴釜の神事」は温羅の切り落とされた首が唸ったという話と重なりますが、
米を炊くことが、占いの行為となってることが興味深いです。
また、「こまいぬ」が明治・大正時代には宮内釜殿でもつくられていたとも言われていますので、なおさらです。

また、「こまいぬ」と言いながら、立つ犬、座る犬、鳥だとされていますが、なぜ「こまいぬ」なのか?
「うなゐのとも」には吉備津神社の猿の土人形が描かれていますし、桃太郎のお伴の犬猿雉のこともあり、
ほかの吉備津の土人形も気になるところです。


さらに飛躍して、桃太郎の「きびだんご」とは何をさすのか?菓子好きには気になることだらけです。
江戸時代の赤本の桃太郎では「とうだんご」を腰にさげた桃太郎に、犬が「もっと食べたい」とねだります。
「とうだんご」は古来、各地にあって、道中の厄除けを願った縁起もの。
その名残りが熱田の藤団子、宇津ノ谷の十団子などです。

この「こまいぬ」には、他にも犬の民俗が重なり合っているように思われ、私にとっては示唆に富む存在です。
もう少しまとめられたら、かわら版にでもしてみたいと思います。


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2008.1