木こりのおじさん

ビュッシュ・ド・ノエルの上でよく見かけるプラスチック製の木こりのおじさん。
クリスマスケーキには、プラスチックのツリーや柊などのデコレーションが挿してあるのは
私たちにもよく見慣れた光景で、これがないとクリスマスケーキの雰囲気もなくなるほどの
欠かせないデコレーションアイテムですが、ビュッシュ・ド・ノエルにはこのおじさんが必須アイテムですね。

豊かな生命の象徴としての樹木。
木を新しい年の節目に家の中に取り込む習俗は世界共通のものらしく、
日本でも「若木迎え」などといい、山へ木を切りに行きます。
ヨーロッパでは、森から、というイメージですが、習俗の意味するところは似ています。

カタルーニャには、特におかしな行事があります。
赤い三角のカタルーニャ帽を被せ、顔を描かれた「薪のおじさん」がクリスマスに登場します。
この薪のおじさんを皆で「うんちしろ!」といいながら棒でたたきます。
新しい年を稔り(うんちが象徴)あるものに願う行事だと思われます。
日本でいえば、「なる木責め」に似ています。

「なる木責め」は、小正月に親子で実のなる木のところへ行き、親が鎌を木にあてながら「なるか、ならんか!」と木に言うと、
子供が「なります。なります。」と木になりかわって言う、小正月の予祝行事のひとつ。


「薪のおじさん」は、森からやってきた豊かな生命の擬人化なのではないでようか?
フランスのお菓子の薪も、木を家に取り込むというキリスト教以前の古い習俗の表れだと思います。
そして、ケーキの上では、木こりのおじさんが、まさに森での作業中というわけです。

ビュッシュ・ド・ノエルは、ノエルに暖炉で燃やす薪を表しているといわれています。
新しい太く立派な生命力の塊のような薪を家の中に持ち込み、それまで1年間一緒に家にあった古い薪を
暖炉で燃やすといいます。その火にあたることも意味深く、その灰は生命力のエッセンスですから
畑などにまいたり、特別な力を授かりたい時の護符のようなものとして大切にされます。
暖炉も薪も消えつつある現代。ケーキの上だけでも、木こりのおじさんが健在でいますよう!



我が家はもう15年以上同じお店の同じビュッシュ・ド・ノエル。
木こりのおじさんを台所の引き出しにいくつかみつけたので、おじさんについて考えちゃいました。



上のケーキのプレートはリールに住む友人宅にいた時、パティシエの修行を始めたばかりの20歳そこそこの友人の弟が
菓子好きの私のために、お店で使っているものを持ってきてくれたうちの数枚です。20年くらい前のものです。
ノエルのプレートがないですねぇ。私がつかったのかな?
見るとチョコレートの文字は、少し盛上がっています。和菓子の麩焼煎餅に、渋紙の型紙で「刷り込み」するのと同じ手法です。

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2010.3