
讃岐の「小判」づくり
「オヤジは、小判焼っきょる」
丸亀にある寶月堂にお勤めの和菓子職人さんのご実家では、
讃岐(香川県)ならではのお仕事をされているようです。
「小判」とは、讃岐の婚礼菓子としても愛されている「おいり」に欠かせない麩焼煎餅のことです。
砂糖蜜を刷毛ではいた麩焼煎餅を、「はけびき」と呼び、そのなかでも、
「おいり」に欠かせない小判型の「はけびき」を、地元では主に「小判」と呼ぶそうです。
寶月堂の高畑さんによれば、「お嫁入りにも小判を持参するという意味があったのでは?」
また、「お金に困らないようにということなのでは?」ということのようです。
高畑さんの発案で、和菓子職人の高島さんが、ご実家の「小判」焼きの様子を
写真に撮ってきてくださり、作業工程も教えてくださいました。
この「小判を焼く」という職種は、一般的に言うと、最中の皮などをつくる「種物屋」さんなのですが、
今や、毎日朝から晩まで、一年中、小判だけを焼くのに追われているのだそうです。
いかに「おいり」、そして「小判」の需要があるか、ということがわかりますね。

二色に合わせたまだ柔らかい餅を細く切って、木型に入れていく。おもしろーい。この後、鉄板に餅を移す。〈写真・上〉
さて、どのようにして鉄板に餅を移すかわかりますか? ヒントは、木型の下に同じように穴の開いた鉄板が重ねてあります。
写真はすべて高島一貴さん撮影。
この写真を見せていただき、「!」
一般的な最中皮焼きや、まゆだまの小判を焼く様子を幾度となく見てきた私には
かなりユニークな小判づくりだったのです。
初めてみる木型に餅を入れてる様子に、!? さらに鉄板に餅がきちんと並んだ様子に、!
木型に入れることで、均一の幅で餅が並び、プレスした時にちょうど楕円に広がりつつ、
隣同士がくっつかないように焼きあがる、計算された間隔のようです。
この小判を焼くために工夫された小判仕様の道具たちと、熟練の作業の様子は、
「おいり」に入っていた小判を見た時に、フチの仕上がり具合を見て、
小判型を使ってないのだろうか?と、疑問に思っていたことも、すべて納得の工程でした。
小判型の金型に入れずに、こんなにきれいに小判型にやいていらっしゃるのだなぁと
しみじみ、「小判」を眺めてしまいました。


刷毛で砂糖蜜をひく作業をする奥さん。この作業が「はけびき」という名前になっている。
「おいり」については、「讃岐のおいり」または、お菓子かわら版「餅花からお炒りへ」をご覧ください。
寶月堂の高畑響子さん、高島一貴さん、そして高島種菓子店ご夫妻、どうもありがとうございました。
皆様のおかげで、製造段階でしか見られないお菓子の姿と、職人さんの工夫などを知ることができました。
![]() indexへ |
![]() 次のページへ |