
もち麦とスペルト小麦
どちらも麦です。
左がアジアにしかない糯性の「もち麦」、右がヨーロッパの古代小麦の「スペルト小麦」です。
「もち麦」は「だんご麦」とも言われるそうで、日本では、瀬戸内海沿岸地域などの特産のようです。
裸麦の1種だそうで、ノギも穂も紫色が強いため、「スミレモチ」とも呼ばれるとか。
広島県などでは、「しばもち」「いがもち」といった郷土のおやつ的なもち菓子に
粉に挽いて単独、あるいは米粉と混ぜて使われるようです。その場合、もちの色は茶系に。
ご飯に混ぜて炊いてみたら、おいしい!ムギご飯のパサパサ感もありません。
土地に合った作物で作られる郷土菓子は、その土地の風土や食文化も教えてくれます。
おいしいものをどこからでも取寄せできる時代ですが、足元の食文化を知っているのと
知らないでいるのとでは、他の地域の郷土菓子を味わう上でも大きな差が出るのではないでしょうか?
スペルト小麦は、フランスではすでに11世紀頃には小麦にとって代わられたという、
現在のパン小麦の原種にあたる古代小麦です。ポンペイで出土したパンもこれで焼かれていた?
このスペルト小麦を知ったのは舟田詠子先生の講演ででしたが、その頃は日本ではまだ手に入りませんでした。
今、各国でこの麦の栄養価や、皮が厚いことから汚染物質に強いことなどが注目され、
復活し、栽培が拡大していると聞きます。
なんといっても風味がよく、おいしいと思います。ただ、生産性が悪く、硬い皮に包まれているため、
扱いにくく、歩どまりも悪いため、長い間忘れられていたようです。
写真のスペルト小麦はイタリア産。イタリア語では「ファッロ」。
お米の代わりに、サラダ・ニソワーズに入れてみたら、プリプリとして食感もよく、ぴったりでした。
サラダ・ニソワーズ(ニース風サラダ)といえば、
南仏アルルでは、米(ジャポニカ種)を地元の名産として観光局でも宣伝していました。
お米の収穫祭もあるようで、どんな収穫儀礼があるのか気になります。
スペインでもよくスペイン米(ジャポニカ種)を、炊飯器で炊いて食べていましたー。
スペルト小麦の粉は、すでに何年か前から売られています。
私はパンは焼けませんが、この粉で手抜きピザを焼こうとして、発酵ボタンを押し間違って焼いてしまい、
でも風味のよさに、ホカホカのところをぱくぱく食べてしまいました。

上のもち麦を知らないと言った広島の友人も、この広島産の「やきごめ」には、よくあるじゃない?という反応。
私が珍しがるのが腑に落ちない様子でした。スーパーなどにもよくあるもののようです。
農耕儀礼などのを調べていると、この「焼き米」がよく登場します。
米がまだ青いうちに一部刈りとり、炒ったものを供えるなどして、
その後の無事な収穫を祈るのですが、けっこうおいしい様子で、子供のおやつにも好まれるとか。
一度食べてみたいと思っていたので、新宿にある広島のアンテナショップで見つけた時はうれしくなりました。
もち米を蒸して、干した「道明寺」のような糒(ほしいい)と同じく、お湯(または水)でもどるインスタント食品です。
ベトナムでは青米を「押米」にして、コーンフレークのように食べるらしいことも興味深いです。
「枕草子」に出てくる「青ざし」は青麦を炒って、細長く縒ってつくるものだそうですが、
何か麦の収穫儀礼と関係でもあったのかしら?と深読みしてしまう私です。
小麦も学名でいえば、イネ科に属する穀物。もち麦もスペルト小麦も原種、または、原種に近いためか、
どちらもお米の代用としても使えたり・・・。
コメもムギも、私たちが普段思ってる以上に、お互いに近しいものなのでしょうか。
参考文献:「中世のパン」フランソワーズ・デポルト著 白水社
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