クリスマスのネウレスとムエルダゴ

日本でカタルーニャのお菓子をみつけるのは珍しいこと。
この写真のものは、中にアーモンド風味のクリームが詰められていましたが、
クリスマスのネウレスは、中は空洞の巻きせんべいです。
バルセロナでは、クリスマス頃にたくさん出回っていました。トゥロンの比ではありませんが。
日本人にとっては、さして目新しさのない菓子ですので、見かけても印象に残らないかもしれませが、
元旦には昔からこのネウレスが食べられてきたようです。

『エピファニア』で元旦のお菓子として載せていますが、木版に描かれた
ネウレスで遊んでいるように描かれている子供が、王冠のようなものをかぶっているのが気になります。

また、マジョルカでは、オスチアのような丸い白い切り紙をクリスマスの飾りとしてつくられるようですが、
これもネウレスと呼ぶようです。
教会のネウレスのデコレーションはとても美しいです。

メキシコに伝わるpapel picado パペル・ピカド(切り紙)は、大航海時代の産物のようですし、
宮城県(メキシコとの交易を開こうとしていた伊達藩の土地)には神職による正月の切り紙が今も健在。
新潟県にいたっては、民間人によって切られる正月の切り紙「はっちょうがみ・きりさげ」がひろく行われています。
もちろん、中国など大陸からの習俗が直接影響を及ぼしているはずですが、
ネウレスを見ると、切り紙好きの新潟県人としては、何か血が騒ぎます。

また、フィリピンにもお菓子と切り離せない切り紙「Pabalat(パバラット)」があり、興味深いです。
使用する薄紙をpapel de hapon パペル・デ・ハポン(日本の紙)と呼ぶそうです。
イベリア半島では、いまだに菓子用のレースペーパーを手切りしていることを考えると、混血文化なのかと思いますが、
フィリピンの切り紙の歴史については、今後の課題です。
因みに、ネウレスはスペインでのスペイン語と同じでバルキージョスです。筒状、棒状というような意味だったかと。




カタルーニャでは、クリスマスに「ムエルダゴ」が欠かせません。私たちも玄関などに飾っていました。
日本での呼び名は、やどり木(寄生木・寓生・ほや・ほよ)です。
落葉樹の高い枝に寄生して成長します。モノトーンの冬景色に浮かぶ、葉を落とした木のシルエットの、
そこだけ枝が込み合い、絡み合って見え、遠目にもやどり木だとすぐわかります。

その繁殖力にあやかろうという縁起のよい木として、クリスマスの市でもたくさん売られています。
私はこの「ムエルダゴ」という名前が好きです。幸せに「かぶりつく」「くらいつく」というような意味だと教えられました。
日本にもやどり木はもちろんあるのですが、クリスマスに欲しいと思っても、なかなかみつけられません。
ようやくみつけても、きれいな半透明の白い実がほとんど落ちてしまったものだったり・・・。

日本では家紋にも使われており、源平合戦で活躍した熊谷直実の家紋は「寓生に鳩」という素敵な家紋です。
日本でも実は古くから意味のある木だったようです。

イギリスでもクリスマスのやどり木の下でキスをするお話だったか、唄がありますね。
いずれにせよ、幸運を呼ぶ木のようです。


カタルーニャの張子の天使とムエルダゴ。テーブルに「バルバラの麦」

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2010.12