縁起菓子

牛窓の八朔のししこま

今年はちょうどこの行事の直前、広島へ出向いて仕事をしていました。
オープンしたてのカフェやショップのことに後ろ髪を引かれながらも、
この機をのがしてはと、早朝広島を発ち、瀬戸内海に面した岡山県牛窓町へ。
やっと出会えた「ししこま」が目の前でできあがっていく様子に、前日までの疲れもどこへやら。

「ししこま」は他の土地のしんこ細工より大振りで、色の生地の使い方にも特徴があったり、
へらやはさみ細工が多用され、技術的にも手が込んでいました。
海のもの、山のもの様々作りますが、やはり海のものが多いように感じます。
カラフルな色の魚は「ギザミ(またはベラ)」という魚だそうです。

この「ししこま」は八朔のお雛さまにお供えするといいます。
牛窓では八朔(旧暦8月1日)にも雛祭りの習慣があるのです。
調べてみると、古くは平安の頃から、重陽(9/9)や八朔に、「後の雛」と呼んで
お雛様を飾る風習があったようですが、そんな名残なのでしょうか?
その年に女の子が生まれた家ではたくさんつくり、モロブタに並べておいたとか。
すると近所の子供たちが「ししこま」を借りにきたそうです。
あげるのではなく、貸す。そしてまた借りるという、喜びを繋いで分かち合う行事だそうです。
一度廃絶して、今は保存会の方々が継承していらっしゃいます。


輪の中へ入れてもらい、丁寧に作り方を教えていただけて、最高に楽しんだ私でした。皆様に感謝!

今回は新しく女の子が生まれた家がなかったので、つくられませんでしたが、
初雛には必ずつくるという「臼ネブリ」という「ししこま」ならではの特徴的なものがあります。
私はこれに一番興味を持ちました。機会があったら実物を見たいものです。

「ししこま」の由来ははっきりしないようで、いくつか説があります。
その中でも一番美しい伝説は、三韓からの帰途の神功皇后が牛窓に寄港した折、
官女たちが長旅の慰めに獅子や狛犬をつくって、五香宮にお供えしたというものです。


えびの背は櫛でラインを入れる。眼は小さい黒豆。みかんの葉は「バベ」の葉で。緑のはピーマン。
みかんは江戸しんこ細工の小川さんもつくっています。


牛窓はまた、朝鮮通信使が何度も寄港したことでも知られます。
その名残のひとつ「唐子踊り」が現在も神社に奉納されています。
町に一軒という和菓子屋さんがつくるカステラ饅頭「唐子踊」にも唐子の姿が。
オリーブの入った羊羹もオリーブ園がある牛窓ならでは。青く美しい瀬戸内海は穏やかでした。


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2005.10